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2011年11月26日

実地試験実施基準(PTS)前書き編その3

今回も、PTSの中にある、Special Emphasis Areas、について書いてみます。

stall/spin awareness --- 操縦する飛行機の失速やスピンについて正しい理解があるかどうかを確認します。失速という試験課目はあるのですが、現在のところFAAでは教官資格の際にスピンの試験があるだけで、それ以外の試験では実機での試験ではなく、口述にて知識を確認するのです。

実地試験ではあえて失速させてしかも、飛行機を制御した状態での失速をしてもらいますが、それは実地試験の中の「失速」とう課目で審査されます。このSpecial Emphasis Areaにあるということは意味があるのです。飛行機はある条件になると失速します。その条件をきちんと理解して、その状態にならないように飛行機を飛ばし続けなければなりません。つまり普段の飛行中に失速に陥りやすい場所や失速に近付いてきているということが認識されているのかどうかを見ているのです。スピンも同様です。単に課目として失速ができているのに、飛行中に失速に近付いているのに気付かないとその時点で不合格となります。

例えば、ベースからファイナルに旋回中に風の影響でオーバーシュートしてしまい、旋回ではなく、ラダーで修正してしまった。

管制塔からある地点上空で旋回して待機しておくことを指示され、急旋回になってしまい、機体が滑った状態(ボールがずれた状態)、しかも速度も減少、もう少しで失速、もし失速すればスピンの可能性もある。

スローフライトの課目で失速させてしまった。

失速の課目でスピンさせてしまった。などなどです。

実はこれらは実際に試験中にあったことで、すべて不合格となった例です。皆さんが受験されるときには注意してくださいね。

collision avoidance --- 空中衝突予防です。飛行機は空気以外のすべても物に触れてはいけないという黄金のルールがあります。絶対にぶつかってはいけないのです。そのためには外を見ることはもちろん、見る方法(スキャンニングと言います)をマスターするのです。単に外を見ていても実は見れていない場合もあります。機体の翼などで見れない盲点も存在します。必ず飛行機が近くにいつもいるかもしれないと危機感をもっていないといけません。

試験中、試験官から高度、速度、針路などが指定されてしますと、その計器ばっかり見てしまい外を見ることを忘れてしまうこともあると危険です。

例えば、急旋回の試験中、バンク角、高度、速度、コーディネーション、ロールアウトの針路、すべてにほとんど完璧でしたが、一周する間一回も外を見ていませんでした。受験生は「どや顔」をしていましたが、即刻不合格。

私自身、アメリカ人の友人(私が計器、事業用、教官の担当教官でした)を空中衝突事故で亡くしました。彼の場合、アメリカで自分のセスナ172で教官として訓練生と訓練中に、後ろから別の訓練機がつっこんでしまったという事故でした。そうなんです、後ろからです。これから飛ぶ人、本当に気をつけてください。

このSpecial Emphasis Areasは自家用操縦士のPTSには11あります。これまで4つ見てきました。

続きはまた

たまなは


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