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2011年11月05日

実地試験実施基準(PTS)前書き編その2

今回は、PTSの中にある、Special Emphasis Areas、について書いてみます。

何の事?という方は前回のhttp://fsokinawa.ti-da.net/e3229825.htmlから見てくださいね。

このSpecial Emphasis Areasとはその名の通り、特に注意して審査すべき項目であるという事です。後に解説する各課目の合格基準だけを見て訓練しているだけでは不十分ということです。

一つづつ見てみます。

Positive aircraft control --- 航空機をしっかりコントロールしているか --- 飛行中は、特にシングルパイロットとして飛んでいるとやることがたくさんあって忙しいです。コクピット中では、航空図、チェックリスト、計器、無線装置などに目を走らせ、必要に応じてそれらを操作し、他機と衝突しないように、有視界飛行方式では雲との距離も確認するために外もしっかり確認する、無線で飛び交う管制官や他機のパイロットから発せられる情報に耳も傾け、など… ありますが、当然自分が飛ばしている飛行機をしっかり操縦しておく事が何をさておいても一番の優先順位があるのは分かることです。しかし、それができなくて事故に繋がるケースも実際にはあるので、FAAとしてはいかなる状態(試験中の実際の状態に加えて、あえて異常事態の発生を模擬したり、わざとパイロットのワークロードを増やしたりして)でもしっかり操縦しているかどうかを確認する義務があるのです。飛行試験中に試験官が質問してくるのです。しかも雲が接近していて、針路を変更しなければならないかどうかをパイロットが考えているかもしれない時や、航法計算中、他機が接近しているかもしれない時など。意地悪でやっている訳はないのでご理解をお願いします。試験官としては、心の中で、大変だろうけどきちんと飛行機を飛ばしてね。と祈っているのですから。

Procedures of positive exchange of flight controls --- 誰が操縦しているのかを明確にするための手順が設定されているか --- さっきは一人で飛ばす、と書いたので矛盾して見えますが、免許取得後は教官を含め、別の有資格者とフライトすることもあります。その際誰が操縦しているのかを明確にするためにどういう打ち合わせをして、どういうやり方で操縦を途中で代わってもらうのかを、試験官は確認するわけです。教官と訓練生という組み合わせは意外と安全で、有資格者同士、しかも同じくらいの経験を持っているケースや、教官同士で飛ぶと、操縦している人は何かあればパートナーが言ってくれるかもとか、逆に操縦していない人は、操縦してしている人が分かってやっているだろう、と結局お互いに何もしないということになり、事故に繋がるケースがあります。これは後に解説するCrew resource managementにもつながってくるのですが、誰が操縦をして、有資格者のパートナーは何をするのかを明確にする必要があります。実際以前試験中に事故があったようです。模擬でエンジン故障を想定して試験官がスロットルを絞りました。受験生はは訓練で何度もやっていることなので、定められた手順に従って出力を絞ったまま不時着の準備をしていました。受験生はいつ試験官がスロットルを戻してこの試験科目が終わるのだろうと考えていたそうです。一方試験官は、安全高度に達して、いつ受験生がスロットルに手をかけてゴーアランドをかけるのだろうと思っていたそうです。

おいおい誰が今操縦しているんだびっくり!

とこれを読んでいる人たちも思いますよね。結果として、ぎりぎりまで試験官は待ってしまい、パワー全開でゴーアランドした時には、時すでに遅し!地面に衝突してしまったという結果になりました。

このSpecial Emphasis Areasは自家用操縦士のPTSには11あります。今日はこの2つにしておきます。

続きはまた

たまなは




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