2010年12月15日

フロー

「フローチャート」などのように、物事の一連の流れを一般に文字通りフロー(flow=流れ)と呼びますが、飛行訓練でもこのフローが重視されます。チェックリストの項目を一つの流れにしたものが主で、シングルパイロットの飛行機では特に、チェックリストを参照する前にフローを使って作業を終わらせておくと項目の抜けが少ないので、着陸時など、多忙時のフローを中心に念入りに繰り返しています。

着陸時のチェックリストが以下のようになっていたとします(まだ分からない方、ごめんなさい…)。

1. Seat belt -- Fastned
2. Fuel selector valve -- Both
3. Mixture -- Rich
4. Carburetor heat -- On
5. Landing light -- On

1から5までを線でつないでいくと、ちょうど1本の線で結ばれたようになっています。L字型の逆の形をしているので、逆L型(inverted L)フローなどと呼んでいます。これをフローで行う時、私は次のように口に出しながら、各項目を手で触って確認しています。

「シートベルトオン、タンクボス、ミクスチャーリッチ、キャブヒートオン、ランディングライトオン」

たまに、手で該当箇所に触れながら「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ」と言っている訓練生がいますが、これでは何を確認しているのか分からないので、推奨されません。各部分の名称とあるべき状態を確実に言葉に出して確認しましょう。

訓練中のパイロットがコックピットのポスターを見ながらブツブツ言っている様子をご覧になった方もおられるかと思いますが、基本的にこれらの作業の流れを自分の頭の中に叩き込んでいるのだと思っていいでしょう。上に上がってしまうと、どんな簡単に思われることもすんなりできなかったりします(小林・元日本航空機長のご指摘通りです)ので、地上にいる間に、反射的に手足と目が動くようになるまで、フローの練習を繰り返します。反復練習が、安全で楽しいフライトを支えます。飽きずに、いや、飽きてもなお繰り返してみてください。

(Ichi)


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